想い苦く

　　　酷い事があったのです

その前日の夕方
先に様子見で一人 霞ヶ浦に行って
少しだけ竿を振ったんだけど
細かく霧雨が纏わり付く嫌な天気。
しばらくは比較的足場の良さそうな場所で。
でも他に誰も居ません 酔狂な自分だけです。

まぁ、釣れませんでしたけど？

もう薄暗いし体も濡れて来たので、
帰ろっかなと水際を
雨の中ブッシュを掻き分けていると
そのガサガサって音に反応するように
微かにミーミー何か仔猫の鳴き声が聞こえるたのさ

恐る恐る声のする方に近付いて行くと、
薄暗くてよく見えなかったけど
シマシマっぽいのと三毛
多分、生まれて数日位？ だと思う。
でも声の主は違うようだ

既に2匹ともずぶ濡れの亡骸だったから。

 

ハァーーーー

近くに濡れた半壊のダンボールが転がってる。
きっと誰か捨てたんだ。

「車から投げ捨てたのか」

そう思ったのは
自力でダンボールから出て並んで
2匹とも同時に事切れるなんて考え難いからだ
放り出された衝撃で逝ったか
冷たい雨のせいかもしれない

さっきの声が聞こえるような？
まだ何処か茂みの奥で生きてるのだろうか
もう暗さと足場の悪さにそれ以上進めない
少し白い何かが水面の茂みに紛れて見える気がする
アレか？
風の音とガサガサと草の擦れる音
ビニールのゴミだった  そして、捜索はやめた

これ以上深入りするのはダメだ
もし仮に同じ仔猫の兄弟が見つかったとしよう

で 如何するつもりだオレ

大怪我してて保護しても助からんかも知れん
この雨の中他の兄弟と同じく衰弱しているだろう
それ以上にハッピーの二の前だろう
しかも、今度はムスメに手放させた
そのチテト本人では親としても示しもつかん

こう自分自身に言い訳して
その場を離れた…

 

 

帰ってから
この事がカミサンにも話せなかった。

その夜中もそれが気になって
呵責に押し潰されそうになって
我慢出来ず眠れないから
助けて貰いたいから   カミサンにだけ話した。

カミサンはチテトの事をよく解っているので
『そうね、拾っても飼えないからね』
と言ってくれた
ありがとう 少し気持ちが軽くなったョ

これは自分の心が
誰かに話す事で少しでも楽になりたい
その為だけに話したこと。

それでもカミサンには場所まで教えてない。
その訳は翌日其処から離れた場所に行き
居るか居ないかも判らない仔猫を
偶然にもムスメが見つけて
『仕方が無いなぁ』とそのまま拾ってあげたい
と何処かで思ってしまったのだろう。

誰も通らないこんな所に投げ捨てるなんて･･･
誰かに拾ってもらおうとかそんなんじゃない
生き物を、生きていないゴミの様に捨てた。
殺意しか感じられない
モラルとか人道とかそんな次元じゃない

せめて、釣り人ではあって欲しく無い　と願う